| 派遣医師便り: “機能性身体症候群”について |
| 最近注目されている疾患の一つとして“機能性身体症候群”という疾患が有ります。 血液検査、内視鏡検査、各種画像検査など、種々の検査を行っても、“器質的な病変”(=“異常”)が見つからないにも関わらず、“明確な症状が有る場合”に、この疾患名が用いられます。 この疾患の代表的な症状は、(原因のわからない)ー錙垢良位の疼痛(腹痛、胸痛など)、各臓器の機能障害(消化器系、生殖器系など)、7饌婀兇簇莽感などの全身症状です。 代表的な疾患として、機能性胃腸障害、過敏性腸症候群などの消化器疾患が有ります。この他に、月経前症候群、慢性疲労症候群、(原因不明の)頭痛・胸痛・眩暈(めまい)・耳鳴りなどが有ります。 このうち、“機能性胃腸障害”は別名“機能性ディスペプシア(胃弱症)”とも呼ばれ、内視鏡検査などで異常が見つからないにも関わらず、明確な症状(胸焼けがする、お腹がもたれるなど)を認めるものを指します。 一方、“過敏性腸症候群”はIBS (Irritable Bowel Syndrome)とも呼ばれています。この病気は、かつては、“下痢と便秘が交互に起きることが多い”ことから“交代性便通異常症alternate stool abnormality”と呼ばれていました。しかし、最近では“便秘と下痢が比較的規則正しく交代しているもの”は約半数程度で、残りは“便秘型 IBS”、“下痢型IBS”であることがわかっています。IBSは、大腸を中心とした“消化管運動機能の異常”によって引き起こされる疾患の一つで、“下痢、便秘などの便通異常”以外に、“腹痛・腹部膨満感など”の“腹部不定愁訴”を認めます。 “消化管運動機能の異常”というのは、病気の原因となる“器質的病変(癌や潰瘍など)”が見つからないにも関わらず、明確な症状を認める状態をいいます。実際の医療現場、特に西洋医学においては、 抜鐚租な病気”の発見に注意が奪われやすい、◆筏’柔疾患”には、確立された治療体系が無い場合が多いなどの理由で、“症状に対する治療”、つまり“対症療法”に終始してしまうことが多いかも知れません。 これに対して、漢方治療に代表される“東洋医学”では“心身一如”という考え方が有ります。これは、“心”つまり、“いろいろな精神活動や感情” は、“肉体の機能”と密接な関係があるという考え方です。例えば“失恋が原因で胃潰瘍になる場合”もあれば、“怒ってばかりいると、体調が悪くなる場合” もあるでしょう。今日のいわゆる“心身医学”はこのような考え方から発展してきた学問であると言えます。 “機能性身体症候群”の治療は、いわゆる“対症療法”だけではなく、ストレスを溜めずに上手く発散するなどの“心理療法”や、精神安定剤や抗うつ薬などを用いるなどの心身医学的なアプローチも有効であると考えられています。 |
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